2011年5月11日水曜日

確率87%とは、その日は近いかもしれない

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● 3地震同時発生 Wikipediaより



『』
毎日.jp 2011年5月9日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110509dde012040021000c.html

特集ワイド:頻発する大地震 
 「東海・東南海・南海」3連動 足音高まる「首都直下」

◇「地球全体が警戒期」

 マグニチュード(M)9.0と世界観測史上4番目の超巨大地震となった東日本大震災。
 だが、ひとたび起きればこの国を根本から揺さぶる大地震は、まだある。
 「東海」「東南海」「南海」3大地震や首都直下地震などだ。
 その危険度はどこまで高まっているのか。

 <生徒が集合し、急いで学校前にある山へかけのぼりました。
 山から町を見ておりますと、どろ波がおしよせて町へ舟が流れてくるやら家がなんげんともなくたおされました>

 東日本大震災を思わせる描写だが、実は1944(昭和19)年12月7日にあった「東南海地震」の光景を、三重県吉津村(現南伊勢町)のある国民学校児童が書いた作文の一節だ(00年刊「忘れない!あの日の大津波」より)。
 紀伊半島東部沖から遠州灘にかけてを震源域とするM7・9のこの地震では高さ6~9メートルの津波が起き、死者・行方不明1223人、全壊家屋数は1万7000を超えた。

 地球の表面を覆う岩石の層(プレート)の境界線が集中するこの国では、その一つの南海トラフを震源域として、東海、東南海、南海の3巨大地震が同時に、あるいは数時間から数年のずれで発生し続けてきた。
 古村孝志・東京大学地震研究所教授(地震学)は
 「古文書さえ存在しない時代の地層からも、津波に運ばれた堆積(たいせき)物が見つかっている。
 この三つの地震については一定の間隔で起きているのは確かで、将来、また起こらないとは誰も考えないでしょう」。
 その周期は約90~150年とされる。

 国の地震調査委員会によると、それぞれ30年以内に発生する確率は
 ▽ 東海87%、
 ▽ 東南海70%、
 ▽ 南海60%
という。
 改めてその「逼迫(ひっぱく)度」に驚かされるが、特に懸念されるのが3地震の「同時発生」だ。 1707(宝永4)年10月28日の宝永地震では、津波が伊豆半島から大阪湾、九州沿岸を襲い、49日後には富士山が噴火。
 死者2万人以上にのぼった。
 地震の規模はM8・6と推定されている。

 同じく東大地震研所属の都司嘉宣(つじよしのぶ)准教授(津波・古地震学)は
 「古文書を調べると、宝永以前で同時発生と推定される巨大地震は、887年、1361年の2回。
 およそ400年間隔で起きていることが分かる。
 最後の宝永から既に300年を過ぎていることからも、『次』が同時でもおかしくない」
と危ぶむ。

 1854(安政元)年12月には東海・東南海地震と南海地震が32時間の間隔で起きている。
 しかし、1944年に東南海地震、46年に南海と続いた際には、東海地震だけが起きなかった。
 このため、東海地震については
 「いつ起きてもおかしくない」
として日本の地震で唯一、予知を目指す態勢が敷かれている。

 この「3連動」が恐ろしいのは、地震の規模について1足す1が2ではなく、それ以上に巨大化するからだ。
 「長大な震源域にわたってプレート境界が滑り続けるために、断層のずれはより大きくなる。
 その結果、震動もより強く、津波も高くなるのです」
と古村教授。
 別々の地震がわずかな時間差で起きた場合、津波に津波が重なって波高が上がる現象も起きる。
 15~20分差が最も顕著になるという。

 河田恵昭・関西大学教授(巨大災害)は防災の立場から「東日本大震災の大きさを直視すべきだ」と言う。
 「過去のデータを解析する従来の方法論では、それ以上の地震が起きたときに通用しない。
 物理的にどこまで大きな地震が起こりうるか。
 そこから考えるべきではないでしょうか」

 例えば、地震の規模はM9・0を目安に検討する。
 「想定が8・4だった場合、9・0にすると、津波の高さは2・2倍になります」。
 現状、10メートルの津波が想定されている地域があるなら、20メートル以上の津波への対応が求められるということだ。
 伊豆半島や高知県沿岸部では、第1波が東日本大震災よりも短い10分以内で到達する恐れもあるという。

 もし今、3地震が個別に、あるいは同時に襲来したら何が起こるのか。

 「南海地震がM9・0規模だと、大阪湾を5・5メートルの津波が襲い、ほぼ大阪府全域が水没します。
 大阪城がある上町台地の一部だけが、岬のように水面上に残る」
と河田教授。
 東南海地震では
 「三重県から愛知県にかけて多数ある中部電力の火力発電所が、打撃を受けそうです」。
 そして、言うまでもなく東海地震の震源域の真上には、菅直人首相が全面停止を求めた浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)が建つ。
 原発前の海岸には高さ10~15メートルの砂丘があるが
 「前進を阻まれた津波は、後ろから来る波に押され高さが1・5倍にもなる。
 とても安全な状況とは言えません」。

 国は03年、宝永地震をモデルに、3地震が同時発生したときの被害を想定。
 静岡以西10県で「震度6強以上」となり、建物の下敷きや津波で最大2万5000人の命が失われるとしている。

 古村教授は
 「宝永地震の震源域の西端は高知県の足摺岬沖と考えられてきたが、より西の日向灘だった可能性がある」
 と話す。
 政府は被害想定の見直しをする予定だ。



 一方、首都直下地震の足音も高まっている。
 地震調査委員会の推計では、1923年の関東大震災と同タイプの地震(M7・9程度)は、30年以内の発生確率は0~2%だが、南関東で起こるM7程度の直下型地震となると70%にはね上がる。
 河田教授は
 「関東大震災級の地震は約200年周期だが、その前には直下型地震が発生している。
 70%は無視できない数字だが、意識していない住民が多い」
と嘆く。
 国の被害想定では、このタイプの一つ「東京湾北部地震」で最大1万1000人が死亡し、建物や生産額低下などの経済被害は112兆円にも及ぶという。

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 思えばこの国は、95年の阪神大震災以降、04年の新潟県中越地震など大地震が頻発していた。
 河田教授は
 「阪神大震災から、日本列島は地震の活動期に入った」
と指摘する。
 「この状態は半世紀ほど続くでしょう。
 首都直下だけでなく、近畿圏直下地震を起こす大阪の上町断層帯など多くの活断層に注意する必要があります」。
 東日本大震災のようなM9クラスの超巨大地震ともなると、遠く離れた岩盤にもひずみが生じ、それを解消するために地震を招きやすくなるとも言う。

 このことは、地球全体の状況とも一致するようだ。都司准教授が言う。
 「20世紀にM9・0以上の地震は史上最大のチリ地震(M9・5)など4回あったが、いずれも52~64年の13年間に集中している。
 その後、40年間はなかったのに、今世紀に入って04年にインド洋大津波を起こしたスマトラ沖大地震があり、今回の東日本大震災。
 これは偶然とは思えない。地球全体で警戒すべき時期に入ったと言えるのではないでしょうか」

 「その日」は近いかもしれない。
 対策は待ったなしだ。

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毎日新聞 2011年5月9日 東京夕刊
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 Wikipediaより。


 東海・東南海・南海連動型地震(とうかい・とうなんかい・なんかいれんどうがたじしん)は、東海地震、東南海地震、南海地震の3つの地震が同時発生した場合を想定した巨大地震のこと。
 本項では、単一の震源で同時刻に発生するものだけではなく、3つの地震が起こった時間が非常に近い(同日中 - 数年以内)場合についても記述する。

 地質調査や文献資料から、東海地震、東南海地震、南海地震はそれぞれは約90 - 150年(中世以前の発生記録では200年以上)の間隔で発生していることが分かっており、今後も同じような発生パターンをとると推測されている。
 いずれも「マグニチュード8」に達するような巨大地震で、揺れや津波により甚大な被害を出してきた地震である。

 これら3つの地震は、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに衝突してその下に沈み込んでいる南海トラフで発生する海溝型地震ということで共通するが、プレート境界域で地下のプレート構造が原因となってそれぞれ独立した震源域を持っており、別々に発生する場合や数時間 - 数年の間隔で近接して発生する場合、あるいは同時に発生する場合がある。

 過去、江戸時代以前まで歴史を遡ると東海地震、東南海地震、南海地震は同時に発生したことが確認されており、揺れと巨大津波により甚大な被害を受けている。
 文献によれば1707年の宝永地震(マグニチュード8.6)や1854年の安政東海地震、安政南海地震(ともにマグニチュード8.4)が確認されている。
 これ以前については、1498年以前の東海地震の発生記録が無いなど地震の記録が乏しいことや、信憑性や確実性に疑問が残る文献もあることなどから詳しく分かっていないが、連動型が発生していた可能性もあるとされる。

 東京大学地震研究所地球ダイナミクス部門の瀬野徹三教授は、3地震の現在の固有地震の分類を変える必要を挙げ、
 ▽ 南海トラフの東端の震源域(東南海の一部と東海)と連動する「安政型」と、
 ▽ その震源域と連動しない「宝永型」
に分類することができるという説を唱えている。

 日本で記録に残る地震として最大で、日本観測史上最大のMw9.0を記録した東北地方太平洋沖地震は、三陸沖から茨城県沖までの南北500km、東西200kmの震源域で、最大滑り量約20mの規模で
 3つの断層が極めて短時間に連動して破壊された
ことにより超巨大地震となった。

 また、大阪市立大学大学院理学研究科の原口強准教授によると、869年の貞観地震は、岩手県沖から福島県沖(茨城県沖)の震源域をもつ連動型巨大地震と推定されている。
 これは福島県と宮城県沿岸で従来発見されていた津波堆積物が岩手県沿岸でも発見されたことが根拠となっている。

 東京大学地震研究所地震火山災害部門の都司嘉宣准教授によると、津波の復元から887年の仁和地震(東海・東南海・南海連動型地震)を2004年のスマトラ沖地震と同様のM9クラスの超巨大地震と推定している。

 また、歴史文献などの記録がない琉球海溝のプレート境界で発生する推定M9クラスの超巨大地震が、数千年に一度発生する可能性が、2006年に琉球大学と名古屋大学の研究者から示唆されている。
 2007年から2009年にかけて琉球大学、名古屋大学、台湾中央研究院らの合同による海底地殻変動観測が行われ、その成果によれば、測定用の海底局が沖縄本島から北西方向へ年間7cm移動していることから、推測される固着域(アスペリティ)は幅約30 - 50kmでプレート間カップリング領域が形成されていることが判明した。

 名古屋大学大学院環境学研究科の古本宗充教授の論文によると、東海・東南海・南海の南海トラフから奄美群島沖の南西諸島海溝までの全長約1000kmの断層が連動して破壊されることで、2004年のスマトラ島沖地震に匹敵するM9クラスの超巨大地震が発生する可能性がある。
 これは、御前崎(静岡県)、室戸岬(高知県)、喜界島(鹿児島県)の3つの海岸にある南海地震のものと推定されるものより大きな、平均1700年(直近は約1700年前)の4隆起がある隆起地形が根拠になっている。







【◆ その後】


NEWSポストセブン 2011年05月12日16時00分
http://www.news-postseven.com/archives/20110512_20165.html

東南海・南海大地震予測 高知では街が沈下する可能性も

 東海地震とともに、その発生が予測されている東南海・南海大地震。東京大学地震研究所教授・古村孝志さんは、こう説明する。

 「紀伊半島沖を主な震源とする東南海地震、土佐沖を主な震源とする南海地震は過去に東海地震と連動して発生しています。
 東南海地震は67年前から、南海地震は65年前から発生しておらず、相当な歪みが蓄積しているので充分注意すべきです」

 東南海・南海地震が東海地震と連動して起こるとM8.7になると予測されている。
 東海から四国にかけての津波被害が大きく、広域に及ぶため、死者・避難者は東海地震が単独で起こった場合の倍以上とされる。

 東日本大震災では仙台平野が120cm地盤沈下したが、同様のことが高知でも起きるという。

 「1946年の昭和南海地震では70cm、宝永地震では2mもの沈下が確認されました。
 地震により地盤が海面下に沈み、さらに追い打ちをかけるように津波が襲い、川から道路や下水に海水が流れ込みます」(古村さん)

 街の一部が水没してしまう可能性があるとのことだ。

【東南海・南海大地震シミュレーションデータ】
想定発生時刻:午前5時
マグニチュード:最大M8.7
震度:最大7
死者:最大1万7800人
避難者:地震発生1週間後までに約500万人
建物全壊:約35万6100棟
ライフライン:断水人口約1600万人、停電人口約1000万人、ガスの供給停止人口約300万人

※女性セブン2011年5月26日号




NEWSポストセブン 2011.05.12 07:00
http://www.news-postseven.com/archives/20110512_20153.html

東海地震シミュレーション 東京の揺れは3.11の3倍か

 100~150年周期で発生し、現時点で156年もの不気味な沈黙を保っているのが、駿河湾沖を震源とする「東海地震」だ。
 東京大学地震研究所教授・古村孝志さんは、こう分析する。

 「いつ起こってもおかしくありません。
 9年前の中央防災会議では犠牲者9200人、建物全壊26万棟、経済損失37兆円超などの被害想定が発表されましたが(下のデータ)、この数字はあくまでも単独で東海地震が起こった場合。
 東南海・南海地震と連動して起こった場合、さらに被害が拡大する可能性があります」

 震度5強が予想される東京では、耐震性の低い建物は破損したり、傾いたりする恐れがある。

 「東日本大震災でも震度5強を記録しましたが、実はビルを揺さぶる長周期地震動はM9.0という地震の規模から考えて小さく、被害は少なかったんです。
 東海地震で長周期地震動がこの程度という保証はありません。
 過去の東海地震の傾向から推測すると、長周期地震動による揺れは東日本大震災の時の3倍になると覚悟しておいたほうがいいでしょう」(古村さん)

 静岡市内では震度6強以上が予想されている。
 専門家の間で危険といわれているのが静岡市蒲原地区。海と山に挟まれた500mの狭いスペースに、東名高速道路と東海道新幹線が走る。

 「想定を超える高い津波が襲来した際には2本ともさらわれる可能性も」(古村さん)。

 2009年に発生したM6.5の静岡沖地震では、県内各所で高速道路の路肩が崩れ、復旧までに5日を要した。
 さらに激しい揺れと津波に襲われれば、陸路は長期間寸断されるだろう。

【東海地震シミュレーションデータ】
想定発生時刻:午前5時
マグニチュード:最大M8.0
震度:最大7
死者:最大9200人
避難者:地震発生1週間後までに約190万人
建物全壊:約26万棟
ライフライン:断水人口約550万人、停電人口約520万人、ガスの供給停止人口約290万人

※女性セブン2011年5月26日号




== 東日本大震災 == 



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