2011年5月1日日曜日

「今こそ原発を推進しよう」

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● ペンザ州で地元の物理学研究所職員らと会談するロシアのプーチン首相(右から2人目) =AP



 世間は脱原発ばかりではない。
 積極的に推進しようとする人たちもいる。


日本経済新聞 2011/4/26 0:00
http://www.nikkei.com/biz/world/article/g=96958A9C9381959FE0E7E2E0888DE0E7E2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E3E7E2E0E0E2E3E2E6E1E0E2

今こそ原発を推進しよう(社説)
(2011年4月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 原子力業界にとって、今週はまたつらい1週間になる。
 日本の福島第一原子力発電所からの放射能漏れが続いているうえに、26日はウクライナのチェルノブイリ原発事故からちょうど25年という節目の日を迎え、原子力に反対する活動家たちに格好のスローガンを与えているからだ。

原子力のない世界は不安定

 例えば先週末には、9人のノーベル平和賞受賞者が原子力発電の段階的な廃止を求める書簡を各国の元首に送付した。
 世界中の人々が
 「これまで以上に平和に、そして安全に暮らせる」
ようにするためだという。

 実際のところ、原子力のない世界は安全性が低くなる
 原子力は現在、世界の発電量の14%を占めており、これを化石燃料や再生可能エネルギーで代替することは当面できない。
 強行すれば、エネルギー市場が深刻な不安定性や不足に見舞われる恐れがある。
 要するに、エネルギー安全保障には原子力を含む多様なエネルギー源が必要なのだ。

 こと安全性については、原子力は別の基準で判断することが避けられない。
 広島への原爆投下で原子力の時代が始まって以来、人々は核分裂の破壊的な威力と、姿も見せず音も立てずに忍び寄ってくる放射能汚染の危険性の両方を懸念してきた。

 しかし、原子力の時代が始まってからの原子力エネルギーによる死傷者数(鉱石の採掘や燃料精製の現場での事故から、発電所からの放射能汚染によるものまでを含めた数)は、石炭や石油、天然ガスの燃焼による犠牲者数よりケタ違いに少ない。
 炭素燃料がもたらす気候変動という、論争の的になっている2次的影響を無視した場合でもそうなのだ。

■現実的な安全性評価を

 政治家は、原子力に対する国民の不安を尊重しなければならない。
 チェルノブイリがもたらした長期的な放射性降下物には、恐ろしいものがある。
 現地から2000キロ離れた英国の一部地域では今も、農家が自由にヒツジを移動させられない。
 そして悲しいかな、福島第一原発の数キロ圏内に住む人々は、今後何年も普通の生活に戻れないかもしれない。

 このため、世界各国の政府が福島の事故に対応して原発増設計画を一時停止し、既存の原子炉の安全性を点検することにしたのは正しかった。
 ただし、
 巨大地震と津波という特殊な状況
が欧州北部に当てはまる可能性が低いことを考えると、原発7基の一時停止を命じたドイツは行き過ぎだった。

 こうした点検は、形ばかりのジェスチャーではなく、福島で起きたことを踏まえて本当に安全性を評価する試みでなければならない。
 それと同じくらい重要なのは、点検を不必要に長引かせ、政治家たちがエネルギー政策について難しいが不可欠な判断を下すのを回避させてはならない、ということだ。

■研究を停滞させてはならない

 現在の原子力の嘆かわしい特徴は、大半の発電設備が古いことだ。
 これは1979年のスリーマイル島の事故に続くチェルノブイリの事故で、新規の承認と建設が何年も凍結されたためだ。
 世界の原発の大多数は、20世紀半ばの防衛産業で生まれた設計に基づき20年以上前に建設されたものだ。

 アレバの欧州加圧水型炉(EPR)やウェスティングハウスの軽水炉AP1000といった現在の「第3世代」の設計は、受動冷却システムなどの安全装置を備えている。
 こうした装置があれば、津波の後に福島第一原発を破壊した深刻な過熱をほぼ確実に防げたはずだ

 しかしこうした設計は完璧からはほど遠く、将来に向けてより優れた原子炉(例えば、ウラン燃料ではなくトリウム燃料を使う原子炉や、地下深部で稼働する原子炉など)を開発するにはもっと研究が必要だ。

 そして言うまでもなく、原子炉の安全性以外にも対処すべき問題がある。
 特に大事なのは、放射性廃棄物の長期的な貯蔵や処分だ。

 チェルノブイリは過去四半世紀にわたって原子力の開発を凍結させた。
 もし福島が今後25年間にわたって、これと同じくらい効果的に原子力の開発を凍結させるようなら、世界にひどい遺産を残したことになる。

(翻訳協力 JBpress)




BLOGOS 2011年04月29日20時38分
http://f.blogos.livedoor.com/opinion/article/5527767/

技術としての原発はそれほど悪くない
   [技術×管理=安全性]

吊られた男提供:吊られた男の投資ブログ (一般人の投資生活)

 福島原発の事故で、いろいろ原発に対する情報も報じられています。
 そして、私を含めていろいろな人がいろいろな原発に対する意見を言っており、福島原発の事故以来、原発へ否定的な意見が勢いを増しています。

 しかし、この議論の中で、原発の技術と使い方が混同されているケースが散見されます。
 「原発という技術は、世間で言われているほど危ない技術ではない
と思うのです。

 特に今回の福島原発の問題は、原発の技術的問題も原因の一端ではありますが、それよりも原発というモノの不適切な扱い方が原因であったとも思っています。

 捕まえた野生のライオンを秋葉原に放てば、死傷者が多数出るかもしれません。
 しかし、ライオンを動物園の檻の中で適切に管理すればそのようなことはほとんど起こりません。

 時には動物園から動物が脱走して市民を殺傷する事件もありますが、一般的なライオンや動物が危険とはされずに、管理体制の問題とされることがほとんどでしょう。
 どこぞの国の動物園から動物が脱走して人を殺傷してしまう事件が起きたから「脱動物園」を掲げるデモが起きたという話も聞きません、

 原発もロジックは同じです。
 まず、今回の福島原発の問題の原因はどこにあったかがしっかりと検証され、原発(ライオン)という危険なモノをどう扱っていた結果、問題が発生したのかが検証されなくてはいけません。

 原発が福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原22という場所で管理されていたのは適切なのか?
 ライオンが動物園で管理されていたのは適切なのか?

 原発を管理する設備は適切な設備であったのか?
 ライオンを管理する檻は適切な檻だったのか?

 何か原発に問題があったときの対応策は十分であったのか?
 何かライオンを管理する檻に問題が起きた時の対応策は十分であったのか?

 今回の福島原発の問題は、いろいろなところでも語られていますが、これほどの大規模な津波を想定しておらず、その対策をしていなかったことが最重要ポイントです。
 原発を管理するシステムの電源が失われなければ、一定期間原発が止まって検査や整備の後に再開するだけで終わったはずです。
 原子力発電所の根幹を成す原子力発電という技術そのものは今回の地震や津波に対しては問題なかったということになります。
 周辺の管理技術がそこについてこれなかったのです。

 こう考えると、"暫定的に"原子力発電という技術は問題がないという判断ができます。
 何故、暫定的かというと、管理する技術が存在しないのであれば結局は制御不能なので原発は危険ということになります。
 (ライオンを入れる檻を用意できないのであれば、ライオンは危険)

 そこで、次のステップとして、原子力発電周辺の管理技術について考える必要があります。
 東日本大震災のような揺れ+津波に対する対策方法はいくつもあります。
 電力喪失に対応するには、言われているようにより高いところに電源を設けるなど、複数系統の対策があれば問題になりませんでした。
 柏崎刈羽原発では断層の上にあったことが問題だということも分かりました。
 今の技術であれば、断層調査も昔より精密にできるのですからそのような危険な場所に建築することを避けることもできます。

 このように考えていくと、原子力発電という技術そのものは適切な管理技術と組み合わせれば安全性が高い技術のように思えてしまいます。
 十分な体制で管理されていれば大きな問題が発生する可能性はきわめて低いと結論付けざるを得ません。

 日本における原子力発電推進の方向性に問題があったという点はその通りでしょう。

 過去に大津波があった海沿いに建設しつつ、津波対策は貧弱で非常用電源が一系統しかないような原発を推進した点については責められる点がありそうです。
 しかし、福島原発で今回の事故が起こったからといって、
 地震や大規模ハリケーンがほとんど起きないような地域で各対策が取られている原子力発電所まで含めた一般的な原発=危険というイメージで語られること
は筋が違うでしょう。

 技術やモノとその管理のセットで安全性です。
 モノが危険でも適切に管理されているのであれば安全性は高くなります。
 厳重な警備の上で巨大金庫の中に管理されたマシンガンと庭先に無造作に置いてあるチェーンソーでは後者の方が危険です。
 原子力発電所の事故イコール即原子力発電の問題というのは早計です。

 技術×管理=安全性です。

(そのような管理技術の問題も考えた上で想定されるリスクを許容できない、という結論に達したのであれば極めて合理的だとは思います)


 まさにこの通りです。
 「技術×管理=安全性」であり、
 「地震や大規模ハリケーンがほとんど起きないような地域で各対策が取られている原子力発電所まで含めた一般的な原発=危険というイメージで語られること」
があってはならないと思います。
 地球環境の中では、地域によって環境の危険性が大きく出てくるところと小さく出てくるところがある。
 もし今回の地震が「貞観地震」に匹敵するものなら「千年レベルの災害」であり、ほとんど人知の及ぶところではない。
 日本列島という地球環境からいうと、
 この場所は原発にはふさわしくない「ヤバイ場所」
だということだろう。
 人間というちっぽけな生物の考えうる安全性の限界を越えるものである、といって差し支えない。



日テレNews24  2011年5月1日 12:40
http://news24.jp/articles/2011/05/01/10181992.html

露・プーチン首相、日本政府の原発対応批判

 ロシア・プーチン首相は先月30日、福島第一原発の事故への日本政府の対応の遅れを批判した。

 ロイター通信によると、プーチン首相は先月30日、原子力企業の会合に出席し、福島第一原発事故について
 「冷却機能復旧のため、速やかに外部電源を持ち込むべきだったのに、間に合わず問題を引き起こした」
 と日本政府の対応を批判した。

 また、
 「なぜだか知らないが、日本は地震の多い危険地帯に原発を建設している
と原発の立地にも疑問を呈した。


 日本には地殻の構造からして地震の少ない場所などない、といっても間違いはない。
 さすれば、
 日本は原発建設に適した大地を持っていない

ということである。
 おそらく、ロシアは火山もなく地震もないようなので、こういう土地こそ原発が建設出来る適地だと思われる。
 チェルノブイリでは失敗したが、「技術×管理=安全性」という式がもっとも素直に当てはまるのがロシアではないだろうか。
 もちろん、世界各地には原発を建設するに適した土地はまだまだ数多くあるはずだ。
 そこでは積極的に推進されていくことでしょう。
 でも、日本はというと、どうみてもヤバイ土地柄と言っていいだろうと思う。


ウオールストリートジャーナル 2011年 4月 29日 3:05 JST
http://jp.wsj.com/US/node_229799

 数十年来で最大の竜巻が米南部諸州を直撃し、ミシシッピ州からノースカロライナ州に至る地域でここ2日間での死者数は200人超に上るとともに、数百人が負傷、建物や樹木などに相当な被害が出ている。

 米国立測候所によると、100を超える竜巻が発生し、倒壊した家屋数は数百軒に上る。
 最も大きな被害を受けたアラバマ州では、同州緊急管理当局が少なくとも131体の遺体を確認した。
 また、ミシシッピ州で32人、テネシー州で30人、ジョージア州で13人、バージニア州で8人、ケンタッキー州では1人の死亡が報告されている。
 オクラホマ州の米国立測候所の担当部署は、アラバマ州の66件とミシシッピ州の38件をはじめ、南部諸州で137件の竜巻の報告を受けたと明らかにした。

 また、テネシー峡谷開発公社は28日、アラバマ州にある原子力発電所で27日夜、外部電源が一時的に失われ、安全に停止した状況だ、と明らかにした。
 米国原子力規制委員会によると、同原発の3基の原子炉が自動停止し、7つの予備のディーゼル発電設備が稼働し始めた。

 テネシー峡谷開発公社は、現地の調査官および同公社のアラバマ地域事務所を通して状況を監視していると表明した。




スポニチ  2011年4月29日  06:00
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/04/29/kiji/K20110429000721280.html

米原発 竜巻で停止も「対応力福島よりも優れている」と説明

 米南部で27日、竜巻を伴う暴風雨が発生した。
 AP通信などによると、アラバマ州などで計72人が死亡したほか、同州ブラウンズフェリー原発の原子炉3基が竜巻の影響で外部電源を失い、自動停止する事態に陥った。

 同原発を管理するテネシー峡谷開発公社(TVA)は、嵐による送電線の損傷が停止の原因と説明。
 非常用ディーゼル発電機が作動し、安全上の問題はなかったという。

 同原子炉は、福島第1原発と同じ米ゼネラル・エレクトリック(GE)製マーク1沸騰水型。

 TVAは日本での原発事故直後から、緊急事態への対応力は福島第1よりも優れていると繰り返し説明していた。
 先月27日には
 「バックアップのバックアップの、そのまたバックアップを備えている」
と力説。
 大洪水の際にも危機的状況に陥る可能性は
 「無視できるほど」
とした上で、従来想定していた
 「最悪のシナリオ」
をさらに厳しく見直す作業にも着手していたという。

 米では今月中旬にも、バージニア州のサリー原発原子炉2基が竜巻の影響で自動停止。
 TVAは
 「設計通り作動している」
と想定内を強調したが、さらなる安全対策が求められそうだ。

 今回の竜巻では最も被害の大きいアラバマ州で58人が死亡。
 ミシシッピ州のキャンプ場ではテントに大木が倒れ、娘を守ろうとしたルイジアナ州の男性警官が死亡した。
 同州とアーカンソー州、テネシー州の各知事は非常事態を宣言した。



TBSニュース 2011/04/29
http://www.youtube.com/watch?v=O3TGRcWQVfw




 この竜巻で原発の送電線が損傷したという。
 ということは周辺環境が竜巻にやられたということで、原発自体が竜巻に巻き込まれたわけではない。
 問題は、このクラスの竜巻が直接にアメリカの原発を襲った
らどういうことになったのかということである。
 これに耐えられば、まさに
 「米原発は竜巻で停止も対応力福島よりも優れている
ということになる。
 千年に一度くらいの確率で、アメリカに発生する竜巻が建設された
 原発敷地を通り道にすることはあり得るのか。
 それに対して、「技術×管理=安全性」の公式は成り立りたたないということである。
 この公式は「静的環境」においてのみ適応できるということであるし、そのように著者も述べている。

 自然だけではない。
 ニューヨークのツインビルは、ヘリやセスナ、あるいは戦闘機が突っ込んでも大丈夫に造られていた。
 が、ジャンボ機が突っ込んだときは、もろくも崩れてガレキと化した。
 それも、一棟なら偶然ということもあるが、なんと二棟ともである。
 自然なら千年に一度くらいの確率ということもあるが、これは人為的であり、今すぐにでも実行されうるものである。



 ジャンボが原発に突っ込んだとき、原発は安全だ、といいきれるかどうか。
 ジャンボが原発に突っ込むことなどありえない、ということはない。
 ニューヨークという大都会で、たった10年ほど前に、目の前で2棟の超高層ビルが的確に崩壊していく様を我々は目撃しているのである。
 ここでは、「技術×管理=安全性」の公式はまるで成り立たない


 イギリスとロシアの論調はわかった。
 その他の国ではどうだろう。

 フランスは。


Neewsweek 2011年04月24日(日)17時42分
http://www.newsweekjapan.jp/newsroom/2011/04/post-217.php

フランス人は原発をどう受け入れたのか

 福島第一原発の事故が起こってからずっと、消費電力の75%を国内58基の原発に頼っている、というフランスのことが気になっていた。
 なぜドイツやイタリアのように自国内の原発に反対する声が上がらないのだろう?
 人口の大半が原発から半径300キロ以内に住むというフランス人
は、いかにして原発を受け入れたのだろう?

 福島原発の事故が一向に収束に向かわないのを見て、最近ではフランスでも反原発のデモが広がっているらしい。
 それでもその勢いはドイツやイタリアの比ではない。
 先週、NHKのニュース番組「ワールドWaveモーニング」が紹介していた米ギャラップ社の世界47カ国の「原発賛成率」調査によれば、ドイツ、イタリアの原発賛成度は福島の事故前と事故後ではそれぞれ34%→26%、28%→24%に下がったのに対し、フランスは事故前が66%で今も 58%だ。
 この賛成率を上回るのは、番組で紹介していた9カ国中では中国の70%だけ。
 ロシアでさえ、63%から52%に下がっている。

 フランス人はなぜ動じないのか。
 エネルギー政策の専門家に聞くと
 「フランスは核保有国だから」
と、まず言われた。
 国家安全保障のための核利用、という点では核保有と原発推進は共通した覚悟ということか。
 被爆国で核アレルギーのある日本とは土台が違う

 日本と共通する部分もある。
 そもそもフランスが原発を推進し始めたのは、1973年の石油危機で中東産油国に4倍も高い原油価格を吹っかけられてから。
 その後も、ロシアがウクライナ向けの天然ガス供給を停止した煽りを食うなど輸入エネルギーには痛い目に遭わされており、エネルギー安全保障の重要性が身に染みているという。
 石油も天然ガスもなく、石炭も枯渇した誇り高きフランスが独立を守るためには、
 原発しかない
という判断だ。

 国の考えとしては理解できるが、一般国民はなぜそれを受け入れたのか。
 米PBS(公共テレビ放送網)のプロデューサー、ジョン・パルフレマンは最近、
 「フランス人はなぜ原子力が好きなのか」
と題した記事のなかで、フランス産業省幹部が語ったその3つの理由を挙げている。

1).フランス人は独立精神が強い。
 エネルギーで外国に依存すること、とりわけ中東のように不安定な地域に依存することには我慢がならない。
 だから原子力を必要なのもとして受け入れた。

2).文化的に、フランス人は巨大ハイテクプロジェクトが好きだ。
 超音速旅客機コンコルドを作りたがったのと同じ理由で原発も好きである(とくに安全な原発への執念は強く、仏アレバ社の次世代型原子炉EPRには過剰と思えるほど何重もの安全対策が施され、9.11同時テロが起こると、航空機が突っ込んでも耐えられるよう改良した)。
 フランスでは科学者や技術者が敬われ、政府の要職にも理系出身者が多いという背景もある(アメリカでは弁護士がそれに当たる)。

3).フランス政府は原子力の利点とリスクを理解してもらうため必死の努力をした。
 原発見学ツアーには既に600万人のフランス人が参加している。

 もちろん、フランス人が事故や放射能を恐れないわけではない。
 だが国全体に占める原子力産業のシェアが大きいので、それだけ原発や関連企業で働いている家族や友人も多い。
 原発立地の負担だけでなく雇用などのメリットも理解されており、パルフレマンが取材したシヴォーの町の住民は誰もが、
 原発建設地に選ばれたことを喜び、誇りにしていた
という。
 そのせいか、フランスの原発は日本のように隅に追いやられるのでなく全国にまんべんなく散っている

 またフランス政府や業界は日本政府や電力業界のように
 「原発は安全」という神話に頼っていない
 いざというときはすぐに遠くへ逃げる、ヨウ素剤を飲むなど、身を守る備えと国民教育をしてきたように見える。
 福島原発事故の直後に自国民に日本からの出国を勧告した時には過剰反応にも思えたが、今思えば、それも危機対応マニュアルに沿った行動だったのかもしれない。
 その後、東電がアレバ社に支援を要請しなければならなかったのも、事故を想定した備えがあったか否かの差が出たのではないか。

 いずれにせよフランス人は、既に抜き差しならないところまでどっぷり原発に依存してしまっている。
 本当に原発がいいと思って賛成しているのか、今更引き返せないから賛成だと思おうとしているのか、もはやそれを区別するのは難しい。
 良きにつけ悪しきにつけ、
 フランスは政府も業界も日本よりはるかに戦略的で策士だった
のだと思う。

――編集部・千葉香代子



 気象状況が悪環境とされるベトナムでは。


Newsweek 2011年04月26日(火)14時53分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2011/04/post-2071.php

ヘレン・クラーク

[2011年4月 6日号掲載]


● 停電をなくしたい ロシアとの原発建設協定に調印(昨年10月) REUTERS

 日本の原発事故を受けて原発見直しの動きが高まるなか、ベトナムは計画どおり2020年までに初の原発を稼働させる構えだ。
 安全性を最優先するが、国内のエネルギー需要に対応するため、引き続き原子力エネルギーを推進するという。

 外務省のウェブサイトにはこんな声明が掲載された。
 「原子力の安全性に関する問題はわが国の最優先課題の1つだ。
 とりわけ気候変動と自然災害、特に日本を襲ったばかりの地震と津波を考えれば非常に重要だ」。
 ベトナムは日本とロシアの協力を得て今後20年間で原発8基の建設を計画している。

 一方、多くの国は違う反応を示した。
 アメリカでは原子力の安全性をめぐる議論の高まりを受け、原発計画を中断する動きが表面化。
 ドイツも、80年以前に稼働した原発7基の運転を一時停止すると発表した。

 ベトナムでは地震こそ多くはないが、世界的な台風の常襲地帯
 国連開発計画(UNDP)などによれば、
 ベトナムは気候変動の影響を受ける上位5〜10カ国に入る見込みだという。
 南部のメコンデルタなど海面が最悪1メートル上昇するとみられる場所まである。

 気候変動の影響は織り込み済みで、原子炉も最新式でEUの基準に適合したものになると、ベトナム原子力研究所のブォン・フー・タン所長は言う。
 日本の原発事故は
 「原発計画に影響しない。
 日本では66年に建設されたような古い原子炉が使われており、給水ポンプが旧式だ」。
 一方、ベトナムは加圧水型原子炉の導入を計画している。

■専門家も技術者も不足

 ベトナムの場合、経済が原子力推進の追い風の1つになっている。
 ベトナム事情に詳しいニューサウスウェールズ大学のカール・セイヤー名誉教授によれば
 「ズン首相らは将来のエネルギー不足が自国の発展の大きな妨げになると考えている」。
 そこで将来のエネルギー需要の増大に対応するには原子力が一番だとズンは結論付けたという。

 ベトナムでは停電は日常茶飯事で、この先電力需要は高まる一方だろう。
 電力供給の大部分は水力発電だが、最近の全国的な水不足でダムの水位は史上最低に。
 「20年には現在のエネルギー資源は底を突く。
 代替策の1つとして原子力を考えているが、それだけに絞るつもりはない。
 多様なエネルギー源が理想的なので、太陽光発電や風力発電なども検討している」
と、原子力研究所のタンは言う。

 ホーチミン市の多国籍企業で働くレ・フォン・トラムは、初の原発の建設予定地であるニントゥアン省の出身だ。
 頻繁な停電は頭にくるが、原子力には懐疑的だという。
 「原子力は制御可能だがリスクがあるし、唯一の選択肢でもない。
 個人的には太陽エネルギーや風力エネルギーのほうがいい。
 原発建設は地球の破滅につながる」

 原発関連の契約が結ばれたのはつい昨秋のことだが、原発推進の方針は90年代半ばに決定し、01年の第9回共産党大会で議会に承認されている。

 ベトナムは自然災害への対処には慣れている。
 UNDPのイアン・ウィルダースピンによれば、
 「政府は洪水や台風に対処してきた長年の経験があり、ほかの災害に対してもほぼ同じ仕組みが使われるだろう」。
 しかし対応力となると話は別だ。
 国営エネルギー企業の経営体質には不満もくすぶる。
 まして原子力産業となれば途上国のベトナムには大きな挑戦だ。

 ロシアと日本の専門家の深い関与が不可欠だと、キャンベラ大学のセイヤーは言う。
 「ベトナムでは養成が間に合わず、専門家と技術者が決定的に不足している。最先端産業を管理できるのか大いに疑問だ」

(GlobalPost.com特約)


 もし、ベトナムが本格的に原発を推進するなら、日本の原発技術者は何をおいても協力して、安全な原発をつくりあげないといけない。
 日本ではその地球地殻の自然構造からして将来的には原発は消えていく
 アメリカで起こるような巨大竜巻の経験は日本にはない。
 データがない。
 台風なら過去幾度と無く被害を受けており、それに対する原発の備えも技術的に可能である。
 よって、日本の培われた技術はそれらの国々に流れていくことになる。


 インドは。

『』
NHKニュース 2011年4月29日 4時35分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110429/t10015630121000.html

印 新規の原発建設計画見送り

 福島第一原子力発電所の事故を受けて、インドでは、環境森林省の委員会が、国内で原発事故が起きた際の影響を改めて検証する必要があるとして4基の原発の建設計画の承認を見送りました。

 インド南部タミルナド州の海岸沿いにあるクダンクラム原子力発電所では、インド原子力発電公社がすでに建設を始めている2基の原発に加えて、新たに4基を建設する計画です。
 この4基の増設計画について、原発が環境に与える影響を審査するインド環境森林省の委員会は、福島第一原発の事故を受けてインド国内で原発事故が起きた際の影響を改めて検証する必要があるとして、今月5日に計画の承認を見送る決定を行ったことが分かりました。
 インド環境森林省は、委員会の決定を受けて原子力発電公社に対して計画を進めるためには、福島第一原発の事故を念頭に改めて安全性を再評価して委員会に報告するよう求める見通しです。
 インドでは、福島第一原発の事故を受けて、国内で原発に対する不安が広がっており、シン首相は、今週、原発の安全性の評価などを行う独立機関を創設する方針を決めています。


 おそらく、インドはベトナムほど性急にではないが、ゆっくりと原発建設の歩みを進めていくのではないだろうか。
 そこにも日本の技術は生きていくはずである。

 技術×管理=安全性 という形で。


 最後にアメリカは。


ロイター 2011年4月27日9時33分
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/world/n_the_states3__20110427_79/story/27reutersJAPAN208279/

日本の原発危機、米原子力発電能力の拡大を抑制する見通し=EIA (ロイター)

 [ワシントン 26日 ロイター] 米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)の高官は26日、日本の原発危機により、米国の原子力発電能力の拡大が抑制されるとの見方を示した。

 3月に起きた東日本大震災と津波による被害を受けた福島第1原子力発電所が、事故後の事態収拾に向けて苦闘している状況を受け、米国では原発の安全性をめぐる懸念が浮上している。

 EIAは、米国の原子力発電能力が2035年までに約9ギガワット増えると予想しているが、EIAのエネルギー分析を担当するジョン・コンティ氏は、日本の災害が、予想の下方修正につながると指摘。

 EIAが主催するエネルギー会議で
 「原子力発電能力の拡大幅は従来予想をやや下回る見通しだ」
と語った。

 米国では少なくとも1社がすでに新たな原子炉の建設計画を取りやめた。
 米電力大手NRGエナジーは、米国で原発の安全基準をめぐる不透明感が高まったため、テキサス州での原子力発電所2基の増設計画を断念した。


 アメリカは過去にスリーマイル事故を起こしている。
 ニューヨーク同時テロの経験もある。
 世界の石油を抑えているし、メキシコ湾に見られるように自前の石油資源も確保している。
 とりたててすぐにどうこうすることはない。
 じっくり様子をみていこうという按配だと思う。



== 東日本大震災 == 



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