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● TBSニュースから
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毎日新聞 2011年10月27日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20111027ddm001040031000c.html
福島第1原発:廃炉に30年超 溶融燃料、回収2022年以降--原子力委
東京電力福島第1原発1~4号機の廃炉措置について、内閣府原子力委員会がまとめた報告書案が26日、分かった。
使用済み核燃料プール内の燃料は2015年以降、原子炉内の溶融燃料は22年以降、取り出し作業を始め、
廃炉終了には「30年以上を要する」との長期見通しを初めて盛り込んだ。
報告書案は、28日に開かれる原子力委の中長期措置検討専門部会で了承される見通し。
第1原発では、炉心溶融した1~3号機の原子炉内に計1496本、
1~4号機の使用済み核燃料プール内には3108本の燃料集合体が残っている。
廃炉実現のためにはこれらを回収し、長期間にわたって安定的に冷却・保管する必要がある。
報告書案によると、廃炉措置は原子炉の「冷温停止状態」を年内に達成したうえで、早ければ来年からスタートする。
原子炉内の溶融燃料回収のため、原子炉建屋内をロボットなどで除染したうえで、格納容器の損傷部分を修復。
さらに、放射線を遮蔽(しゃへい)するために格納容器全体を水で満たす「冠水(水棺)」作業を実施し、22年以降から燃料回収を始める。
一方、プール内の燃料は比較的損傷が少ないが、2号機を除いて水素爆発で原子炉建屋が大きく壊れ、取り出すための既設のクレーンが使用できない。
このため、新たにクレーンを設置し、4号機近くにある一時貯蔵施設「共用プール」を整備したうえで、15年以降の回収を目指している。
報告書案では、すべての燃料回収までに約20年かかった米国のスリーマイル島原発事故(79年)の経緯を踏まえたうえで、
「廃炉措置が終了するまでには少なくとも30年以上の期間を要する」と推定。
早期の廃炉実現のためには、
(1).海外専門家の助言を積極的に得る
(2).計画が不調な場合は臨機応変に対応する
(3).実際の現場作業に必要な研究や開発を優先する
(4).国内の技術者の育成につなげる
--の四つの基本方針を示した。
福島原発では4基の廃炉措置を同時並列で進める必要があり、スリーマイル事故や旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)と比較しても、きわめて困難な作業となることが予想される。
このため、報告書案は
「官民挙げたオールジャパン体制で進める必要がある」
と強調。
そのうえで、来春に発足する「原子力安全庁」とともに、廃炉の進捗(しんちょく)状況をチェックする第三者機関の設置の必要性も初めて盛り込んだ。
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TBSニュース
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NHKニュース 2011年10月28日 18時9分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111028/t10013586001000.html
溶けた燃料回収 10年以内に開始
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた工程を検討している国の原子力委員会は、壊れた格納容器を修理して水で満たしたうえで、今後10年以内を目標に、溶け落ちた燃料の取り出しを始めるとする報告書の案を示しました。
原子力委員会の専門部会は、福島第一原発の廃炉に向けた工程について、ことし8月から議論を重ね、28日の会合で報告書の案が示されました。
それによりますと、1号機から4号機の燃料プールに保管している使用済み燃料は、事故の収束に向けた工程表のステップ2が終了してから3年以内を目標に取り出しを始め、敷地にある共用のプールに移す方針です。
また1号機から3号機のメルトダウンで溶け落ちた燃料は、壊れた格納容器を修理したうえで、放射線を遮るために水で満たし、10年以内を目標に取り出す作業を始めることにしています。
そのうえで廃炉の作業が終わるまでに30年以上かかると推定しています。
原子力委員会は、今回の案について、来月までに専門家による検討を行い、年内に報告書をまとめることにしています。
専門部会の部会長を務める京都大学の山名元教授は
「実際に原子炉の中を調査しないと正確な見通しは立たないが、現時点で10年あれば可能と目標を立てた。
態勢を早期に整えて作業を始めたい」
と話しています。
今回示された福島第一原発の廃炉に向けた工程の案は、アメリカのスリーマイル島原発事故の廃炉作業よりも長期にわたっています。
32年前の1979年に起きたスリーマイル島原発事故では、福島第一原発と同じように、核燃料が溶け落ちるメルトダウンが起き、燃料のおよそ70%が溶けて、一部が原子炉の底に落下しました。
溶けた燃料の取り出し作業が始まったのは、事故発生から6年後、作業を終えたのは11年後でした。
これに対して、福島第一原発の廃炉に向けた工程の案では、
溶けた燃料の取り出しを始めるのは10年以内を目標とし、作業を終えるのは30年以上としています。
スリーマイル島原発よりも時間がかかる理由は、
福島第一原発では原子炉だけでなく格納容器も壊れていて作業が難しいためです。
工程の案ではスリーマイル島原発の廃炉作業を参考に、格納容器を水で満たして高い放射線を遮ったうえで、原子炉の状況を確認して遠隔操作のロボットで燃料の取り出しを行う予定です。
そのためには原子炉から汚染水が漏れ続けているなかで、格納容器の損傷箇所を特定して修理しなければなりません。
さらに溶け落ちた燃料がどこに、どのような状態で残っているか把握するため、新たな技術開発も必要です。
28日の会合でも政府や東京電力、メーカーが参加する研究本部を立ち上げて、技術開発や作業計画の調整をする方針が確認されました。
スリーマイル島原発事故より厳しい状況に加えて、1号機から4号機まで同時並行で復旧作業を行わなければならず、福島第一原発の廃炉作業は長く難しいものになります。
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